全盛期のチャットサイトの凄さ

インターネットが家庭や職場に一気に浸透し始めたころ、チャットサイトやインターネット掲示板はさまざまなサービスがすぐに乱立しました。それらのサイトは「無限のコミュニケーション」を求めるインターネットユーザーで溢れかえったものでした。現在のようにある程度同じようなサービスが淘汰された状態ではなく、無数の小規模コミュニティがくっついたりはなれたりしながら、巨大なコミュニティに進化しようとしていました。

現在のインターネットサービスでは「できること」が一番大切です。インターネットがもはや「当たり前」存在になって以来、インターネットユーザーはその「当たり前」のなかでもさらに利便性にあふれるサービスを求めています。その利便性は一部の巨大企業や技術者でしか実現ができないようなものばかりです。さらにインターネットはその範囲を大幅に広げ、「モバイル」の分野席巻しました。私たちは現在ではなにをしていても、片手でインターネットに接続し、さまざまな情報を得ることができるようになったのです。今後もより深くインターネットの利便性は高まるはずなのですが、そこにはかつてのコミュニティサイト間がもっていた「勃興」の様子は見られないでしょう。

かつてのチャットサイトや掲示板コミュニティでは、どのサイトもテキストと少しの画像情報しか取り扱うことができませんでした。私たちはテキストの情報を得るとそれを論理的、情緒的に頭の中で組み立てます。「青い空」と読めばそれがイメージできるのです。その私たちのイマジネーションの力が、インターネットコミュニティを楽しいものにしている大きな要因です。私たちが理解し、想像できるからテキスト中心のインターネットコミュニケーションはその深さを増し、楽しいものになっていたのです。

インターネットの初期では、どのサイトもコミュニケーションサービスのために使用できるシステムに変わりはありませんでした。どれだけサーバーの処理や端末の処理が速くても、インターネット回線はナローバンドでしたから、ユーザーに快適に利用してもらうためには一定の情報量しか取り扱えません。現在のように鮮明な画像や動画が見放題などということはあり得ないことだったのです。ですから、各サイトでは「テーマ」やちょっとした仕組みを工夫することでユーザーの支持を獲得していました。今のように何でもありではありませんでしたから、トラフィックを得るためには大変なアイディアが必要でした。

それらのアイディアを駆使しても、ユーザーの少しの好みや使い勝手の違いでトラフィックは大きく変わりました。当時のコミュニティサービスから「無料である」ということは「当たり前」と捉えられていましたから、大量のアクセスを稼いで「広告で収益を得る」という風潮は生まれていました。

当時のWebマスターはインターネット上のWebサイトでトラフィックを得続けることの重要性にいち早く気づいていました。それらの取り組みが現在のIT企業やコンテンツ産業の基盤にもなったのです。チャットサイトの黎明期にはさまざまなサイトがシェア率を伸ばそうとしていたものです。現在では私たちユーザーも「目新しい便利なもの」にしか目が行かなくなっています。そのため、アイディアと技術の融合がなければ現在では新しい巨大サービスは立ちあげられないでしょう。

 

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