インターネットが登場し、パソコンが各家庭に普及すると、それまでなかった新しいコミュニケーション方法が成立することになりました。それはインターネットを介して「テキスト」でのやり取りを可能にした「Eメール」や「掲示板」、そして「チャット」です。特にEメールはまさに電子上の「手紙」として、その連絡手段は一気に普及しました。今では当たり前のように、プライベートからビジネスまで幅広い用途に用いられています。
Eメールは相手に「即時性」を求めない連絡手段です。送り手の都合のいいときに送り、それを受け取った側も都合のいいときにそれを参照します。電話ではリアルタイムのやり取りが必要になりますが、Eメールではメールサーバーを経由し、相手が受信しないと読めないという特性があります。そして情報としてメーラーに「残る」ので、確実な「エビデンス」としての役割も果たすことができます。メールは「言った言わない」でのトラブルを解消できる画期的な連絡手段になったのです。
同時期に登場した「チャット」は、Eメールとは違いメールサーバを経由するようなものではありません。その仕組みはシンプルで、複数人が同時に同じ「テキストログ」を参照し、そのログに「書き込む」ことで成立します。チャットの仕様にもよりますが、自動でログをリロードし、新しい発言を表示したりするものです。これはEメールよりもシンプルな機能ではあるのですが、メールよりも「即時性」に優れたコミュニケーションになります。メールと同じくいつでも参照可能なログとしては残らない場合もあるのですが、コミュニケーションをとっている最中にはやり取りの流れなどを汲み取ることができます。
チャットは「CGI」といわれる一種の「プログラム」で稼働していることが多いです。やり取りするのはテキストデータだけですから、インターネット黎明期の決して高速とはいえない回線でも十分実用に耐えるものでした。そのため、インターネット時代の夜明けでもあった十数年前では、一般的なコミュニケーション手段としてインターネットユーザーに重宝されていたものでした。個人でWEBサイトを運営している方も、既存のCGIを設置して独自のチャットプログラムを用意しているなど、「インターネット掲示板」と並んで特に好まれて用いられるプログラムでした。
程なくして大規模なトラフィック、つまりアクセスが集まる巨大サイトが乱立し始めました。それらのサイトは法人やそれに準ずる団体によって運営され、ユーザーを大量に流入させることで「広告費」を収入源として運営されるようになります。乱立した個人のホームページでは、そのホームページを知る限られた人としか交流できなかったのですが、そのようないわゆる「ポータルサイト」を用いれば本当に見ず知らずの人と交流を図ることができるようになったのです。
チャットでのやりとりは「文章」だけではありますが、メールと違い即時性があるため、まるで会話しているかのようなやり取りが可能でした。さまざまな場合に人はチャットを行うようになりました。現在のようなSNSはまだ無い頃ですから、「コミュニケーション」といえばそれらのWEBツールを用いるしかないことも、その発展に大きく起因しているでしょう。
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