ロボットチャットの仕組みとは

「ロボットチャット」というシステムは、インターネットの黎明期からありました。あたかも人口知能であるかのように、ユーザーの入力に対して反応し、画面に返事を返すシステムです。ユーザーの一対一で、時にはグループのチャットに混ざって、発言をすることがチャットの画面の中ではまるで本当に人工知能が会話に参加しているように見えたものです。

このように「システム」に応答してほしいという「人工知能」に対する願望は、私たちはインターネットの登場以前、コンピューターがまだ高価なアイテムであったころから持っていました。それはSFの小説や映画などでしばしば語られたものです。インターネットは純粋に回線接続の発展した姿です。また、体系的にインターネット上の情報を表示する「ブラウザ」に対して基本ファイルであるHTMLをどのように見せるのかということを整理した結果の姿です。「WEBページ」の書式が一定的に整理されているため、「ブラウザ」が「WEBサイト」だと判断したために表示できるのです。そのようにシンプルなところから始まったインターネットの原理自体は画期的でありながら「取り決め」自体が重要であり、目新しい技術などはそこにはないのです。ですから、「人工知能」はそれはそれで私たちの憧れのままです。

近年では「音声認識」の技術が多方面で発達してきました。少し以前では「カーナビ」にマイクが装備され、行き先を告げると認識し、ルートをセットしてくれるというものがありました。それは運転で文字通り手が離せないドライバーのための仕組みです。さらには高性能化が著しいスマートフォンにおいても、音声認識は続々と実装されています。ユーザーの発言を判別して端末内を検索したり、インターネットで検索をかけたりするのです。

それら、スマートフォンで実装された機能のひとつに、「ユーザーの要望を音声などで認識し、実装された機能を駆使して叶える」というものがあります。iPhoneのsiriなどがそれに当たります。ユーザーの発言から「ニーズ」を汲み取り、必要な情報を表示するというものです。これは私たちの期待する人口知能に一歩近づいたものです。コンピューターに話しかければ期待する答えが返ってくるということが、今にも現実のものとなりそうになってきました。

現在インターネット上に存在している「ロボットチャット」は、所持する文章の「ライブラリー」からランダムで文字を表示させているに過ぎません。たまたまユーザーの入力した内容に反応したかのように見えたとしても、それは偶然です。マシンが私たちと会話をするためには、その言葉の持つ「意味」と、その言葉に対する私たちの価値観を共有しておく必要があります。それらの言葉に対する価値は、私たちが人間であるから抱けるものであって、マシンがどのようにしてそれを汲み取るのか、想像しただけで気が遠くなってしまいます。ですが、最近のスマートフォンのように音声を介したやりとりがある程度は可能になっているため、テキストベースなら、さらに回線の向こうの巨大コンピューターなら実現できるのではないか、と考えてしまいます。実際にはそのような取り組みもあるようですから、人工知能とチャットできる日もそう遠くないかもしれません。

 

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